席回転率とは?コロナ禍の飲食事業継続に関わる重要な指標

生産性向上

席回転率とは、飲食店の売り上げに影響する重要な指標の1つです。この記事では、席回転率の概要や飲食店における重要度、可視化するための計算方法、さらには数値を改善するための具体的なポイントや役立つシステムなどについて解説します。売上アップや生産性向上施策に取り組みたい開業前の飲食店経営者の方、マネジメントに着任されたばかりの皆様は是非参考にしてみてください。

飲食店における「席回転率(座席効率)」とは?

席回転率とは、店内の座席をお客さまが1日に何回利用したかを示すものです。

例えば、ある飲食店内の座席が10席あり、1日に100人のお客さまが来店した場合、店内の座席は10回転した、ということになります。

この回転率が上がると、お店の売上も上がることになります。例えば、100席あるお店で、500円の料理を提供して10回転した場合と、20回転した場合の売上は以下の通りです。

・10回転の場合:500円×100席×10回転=50万円

・20回転の場合:500円×100席×20回転=100万円

飲食店にある席数は、増改築などをしない限り増やすことはできません。そのため、売上アップを目指すのであれば、席回転率を高めていくことが重要です。

また、昨今コロナ禍において、営業時間短縮や休業を余儀なくされる飲食店が増えています。そんな中同じ座席数でどのように売上を最大化するか、これはまさにいま飲食業界に求められている大きな課題となります。

席回転率の向上はそういった課題を解決するためにまず取り組まなければならない重要な改善指標であると言えるのです。

席回転率は、以下の計算式を使うことで、求めることが可能です。

あなたのお店の席回転率の可視化とその算出方法とは?

・席回転率=1日に来店したお客さまの数÷総席数

まずは、自店の席回転率を把握してみてください。

席稼働率にも気をつける

席回転率は売上に関わる重要な指標ですが、これだけを注意していればいいというわけではありません。

店の売上に関わる指標には、席稼働率と呼ばれるものもあります。こちらは、店内の席がどのくらい利用されているのかを示す指標です。以下の計算式で求めることができます。

稼働率=満席になった時のお客さまの数÷総席数

いくら席回転率がよくても、稼働率が悪いと売上は上がらないため注意が必要です。また、席稼働率がよくて、席回転率が悪いといった状態も同じです。

そのため、席回転率を改善させたい際は、合わせて席稼働率も確認し、両者のバランスが取れるようにすることが重要です。ちなみに、席稼働率は一般的に70%以上が理想的だとされています。

席回転率を上げるためのポイント

席回転率を上げるためには、業務効率を向上させることが重要です。そこでここでは、席回転率を上げるためのポイントを、ムダを削除するという視点から解説します。

キッチンとホールの連携を高める

キッチンとホールの連携を高めることで、注文の受注から調理、料理の提供までのスピードを早めることができます。具体的には、調理や接客に関する作業手順の洗い出しを行い、ムダな箇所を省くといったことを行うことで、改善できるでしょう。こちらはコストもかけずにできる方法なので、何から手をつければいいのかわからない、といった時などに試してみてください。

注文かかる時間の短縮

従業員がお客さまに直接注文を聞いている場合、注文に人手を割かなければならず、業務効率が低下し、結果的にサービスや料理提供時間のロスにつながります。また、人手による注文の受付はミスが発生する可能性もあるため、場合によっては席回転率を低下させる恐れもあるでしょう。このような場合、オーダータッチパネルによる注文システムの導入やモバイルオーダーシステム、券売機を導入することで、注文に人手を割く必要がなくなるため、業務効率がアップし、素早いサービスの提供につながります。

順番待ちを作らない

ピークの時間帯など、順番待ちのお客さまが出てきてしまうと、ホールのベテラン従業員が行列管理の対応しなければならなくなるため、ホール内での業務効率が大きく低下します。後述するようなツールを導入するなどして、順番待ちや密状態を作らないように工夫することが重要です。

無断キャンセルを発生させない

事前予約システムを導入している店舗などでは予約席を事前に確保しておく必要があります。実はこれには落とし穴があり、予約時に料金を事前にとっていない場合、キャンセルが発生することが多々あります。外食産業内でも課題の1つとなっているのが無断キャンセルによる材料原価ロスと座席のロスです。これは席回転率を低下させる最も大きな要因となっていることは実はあまり良く知られていません。無断キャンセルがあることを前提にリスクヘッジしておく備えが重要となります。

飲食店の席回転率向上に役立つシステムとは?

先述の通り、席回転率を向上させるためのポイントはいくつかありますが、ここでは、順番待ちを作らないために活用できる「順番待ちシステム」を紹介します。

順番待ちシステムは、店頭に設置する端末や、お客さまのスマートフォンなどで受付を行うシステムです。自分の順番が近くなったらメールや電話が自動で届く仕組みとなっているため、お客さまは待ち時間を有効に活用することができます。また、飲食店側もお客さまに対する対応が不要となるため、業務効率が下がる心配がなく、席回転率向上も期待できます。

順番待ちシステムのメリット

順番待ちシステムを導入する一番のメリットは混雑状況の回避ができることです。お客はシステムを通して順番待ちの受付ができるため、実際にお店の前で並んで待つ必要がありません。順番待ちの列ができることもなく混雑回避が可能です。

待ち時間の間、お客は別のお店で買い物をしたり、他の用事を済ませたりもできるため、時間の有効活用になります。

また、順番待ちをしているお客の案内に従業員を割く必要もなくなるため、業務効率化にもつながるでしょう。

順番待ちシステムのデメリット

順番待ちシステムを導入する場合、その操作性に注意する必要があります。これは、システムがお客にとって操作しにくいものだとクレームにつながる恐れがあるほか、他のお店に流れてしまう可能性もあるためです。そのため、システム導入にあたっては、お客にとって使いやすいシステムであるかどうか確認し、導入後も操作方法を詳しく説明する看板を用意するなどするといいでしょう。

まとめ

今回は、席回転率の概要から計算方法、回転率を向上させるためのポイントなどについて解説しました。席回転率を向上させるためには、業務効率化を図ることが重要です。券売機や注文システム、順番待ちシステムの導入などを通して業務効率化を行うことで、席回転率向上が期待できるでしょう。


ライタープロフィール

海外在住のフリーライター

S.K

海外在住のフリーライター

年間4,000以上の業界特化関連記事を執筆。大手ニュースサイトからスポーツ、料理、外食と幅広いジャンルの記事を手掛ける。

タイトルとURLをコピーしました