飲食店に限らず日本企業の生産性向上は喫緊の課題である。
一人当たりGDPを拡大し経済的な豊かさを実現するには、生産性を向上させることが必要となる。この「生産性」を定量的に表す指標の一つとして「労働生産性」があり、一般に、就業者一人当たりあるいは就業1時間当たりの経済的な成果1として計算される。この労働生産性について、我が国の国際的な位置づけをみてみると、2019年時点で米国を始めとするG7各国の中で最下位となっている(図表1-2-1-1)。例えば、米国の労働生産性と比較すると、日本は約6割の水準となる。このように、海外の主要国と比較して日本の労働生産性は決して高いとは言えない水準である。
総務省「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」より引用
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112110.html
大企業と中小企業における生産性格差の拡大
飲食業界は日本の産業の中でも特に生産性が低い業種と言われているが、飲食業は業種特性として大半が中小企業が個人事業主となっており、大企業や上場企業が少ない業種である。つまり業界内だけを見る企業規模による生産性格差は大きい一方で日本全体で見るとそこまでのインパクトはない。
一方で日本の産業を支える業種の代表格となる製造業や建設業では大企業と中小企業における生産性格差はかなり大きい。
大企業はITやDXへの大規模な投資が行える環境にあることからここ数年で急速な生産性向上を図る一方で中小企業は国の生産性向上に関しての助成金等支援体制は充実しつつあるものの予算上限やすべての企業が支援を受けられる状況にはなく企業規模間格差は広がる一方にあるという課題も多い。
旧態然とした営業スタイルが多い業種にこそDXが必要
旧態然とした商慣習がまだ浸透している製造業や建設業においても、コロナ後は大企業を中心に働き方改革も相まってリモートでの営業活動やリモート会議を取り入れる企業が増えていきている。しかし、相手がある営業現場においてはまだまだ訪問型営業が幅を効かせているのが実情である。
相手も来てくれてなんぼの世界であり、成約額が数億、数十億規模となるこれらの業種においてはリモート商談で対応できる範囲はオリエンテーションなど一部に限定されている。結局最後のクロージング段階では訪問型営業が主流となっている。
そんな中で大企業を筆頭に中小中堅規模の製造業や建設業に導入が加速しているのが営業DXの切り札とも言われている「営業管理」「顧客管理」の効率改善を目的とした営業支援ツールである。
Excelやスプレッドシート管理からの脱却は喫緊の課題
営業顧客管理ツールの最も優れたポイントはExcelや紙での管理をなくすことで情報伝達や進捗管理にかける時間が大幅に削減されることにある。
旧態然とした製造業や建設業の営業現場でありがちな課題であり、生産性を低下させている最も大きな要因は顧客と接する時間よりも社内の会議やミーティングの時間が多いという実態にあると言われている。
本来顧客との接点をいかに確保できたかが営業成績を左右するが、進捗管理や上司への報告、見積もり作成、ヨミ表の管理、ヨミ会議など実際には報告や管理の時間にマネジメント層も営業マン自身も多くの無駄な時間を取られている。
営業顧客管理ツールはそういった課題を解決してくれる対策の1つとして注目されているのである。
当初はITや情報通信産業の一部の企業のみで浸透しているツールであったが、直近では製造業や建設業、不動産、医療医薬品製薬業界のMR含めた訪問型営業をメインとする業種にも導入が加速し効果をあげている。
使い勝手、維持費、サポート体制、機能充実度の4点が見極めポイント
この営業顧客管理ツールであるが一般的にはSFA(セールスフォースオートメーションの略)と業界内では呼ばれている。
SFAを導入する際のRFPの設計や見極めのポイントは
1,画面のみやすさ、入力し易さなどの操作性や使い勝手
2,月々に発生する運用維持費(1アカウントあたりの月額コスト)
3,サポート保守体制(カスタマーサクセス)
4,機能充実度(名刺管理連携、日報管理、カスタマイズの柔軟度等)
の4点といわれている。
有名やブランド力だけで決めてしまうと後々大きな後悔も
このSFAツール業界で最も名前を聞くのが「セールスフォースジャパン」である。WBSで大谷翔平の広告看板でおなじみのSFA業界の巨人とも言われている。
しかしこのセールスフォースという企業はアメリカが本社であり開発も米国仕様で英語がベースとなっており日本人にとっては実はそこまで使い勝手が良いとは言い切れないのが実際に使っている企業担当者から聞かれる声である。実際に筆者も過去に300名ほどの企業規模で導入していたが、最初は大掛かりな初期構築をセールスフォース専門のベンダー企業に入ってもらい実施したものの、その後組織変更や営業体制変更、商品設計変更などあった際に自社での改修が必要となったが、社内にセールスフォースレベルの改修難易度の高い専門技術者は不在であり、初期構築をお願いしたベンダーに見積もりをお願いした。
案の定数千万規模の改修費を提示され、社内稟議も通らずそのまま放置状態が数年続き、結局使いきれずにただの情報を蓄積するだけのツールとなってしまっていた。。実際によくある話であると思われる。
製造、建設、医療製薬業界で注目される国産営業管理ツール厳選3種
そういった日本企業の課題を受け最近では日本人特性に合わせた国産の営業顧客管理ツール(SFA)が増えてきている。どれも日本語がベースとなっており日本企業の営業フローや特徴に合わせた仕様となっており大手の海外製ツールよりはかなり使い勝手は良いという評判である。
またコストも大手ツールの半分から3分の1まで抑えたものまで出現しており、サポートも外国人が海外から行うのではなく、日本人ネイティブが日本人の性格な悩みに沿って支援してくれるものも出てきている。
中でもコスト、機能、サポート、操作性をバランス良く兼ね備えた営業管理ツールがジーニーSFA/CRM
後発の強みを最大限発揮しており、競合他社が実装している基本機能はほぼ網羅、入力はExcelに入力するような感覚でSFA上の画面にそのままサクサク入力できる点が特徴である。
またSaaS業界では脅威の継続率99%というサポート体制の手厚さも他社を引き離している。
先程のような課題を抱える製造業、建設業、製薬医薬品業界から注目を集めているようである。
特にセールスフォースなどは最上位クラスの契約金額の顧客にしか即応でのサポート体制を提供しておらずベーシックな契約では、メールでの問い合わせから数日間回答までに時間がかかるという実態であるがそういった課題や不満を抱えた中堅企業が乗り換えをする例が増えているという。
コスト優位性、機能充実度、サポート体制品質をバランス良く担保することは容易ではないが、それが可能となる背景にも納得である。日本有数の大企業であるソフトバンクから30%資本が入っており、同社の本業自体も広告SSP業界で国内No1と収益基盤が盤石となっていることでSFA事業への投資が継続的に行える資本的な強みも中小ベンチャーが多い他社にはない圧倒的な強みである。
中小企業だけでなく中堅、大企業の導入も増えているとの評判となる。大手ツールからの乗り換えも多いのも納得である。
後発ながら既に導入企業数が6,500社を超えている点にも着目したい。
また、次に主に小規模事業者向けに勢力を拡大しているのがマツリカセールス
ジーニーSFAほどの拡張性やカスタマイズ性はないものの大手ツールよりは割安でパッケージとなっておりすぐに使い始めることができるのが特徴の営業支援ツールとなっている。
こちらは導入企業数約3,000社との情報
最後は国産SFAツールの老舗ソフトブレーン社のeセールスマネージャー
国内導入者数は5,500社とジーニーSFAよりは劣るものの、前者2社よりも歴史のある老舗営業管理ツールベンダーとなる。
月額コストはスタンダードモデルがセールスフォースと同等となり高くも安くもない一般的な価格帯ながら機能は充実している。
営業力が強い一方で開発体制は前者2社よりは体制面からは劣ると見られており機能拡張性、カスタマイズ性は課題となる。
しかし何と言ってもSFA業界での経験年数は国内でも有数となり事例数も豊富であり、様々な課題解決応用力適応力といった面では他社の追随を許さない。
国産SFAのメリットとは
国産SFAツールには、日本国内の企業文化や商習慣に適応した機能が多く備わっていることが一つの大きなメリットです。例えば、国内特有の商談管理や見積作成のプロセスに対応した機能が充実しているため、導入後の馴染みやすさが高いといえます。また、日本語対応のサポートが提供されていることも、問題解決の迅速さや使いやすさに直結します。さらに、法規制や業界標準に準拠したデータ管理やセキュリティ対策が講じられているため、安心して利用することができます。
一方で、国産SFAツールの選定においても、やはり自社の具体的な業務プロセスや目標に合致しているかを慎重に検討する必要があります。例えば、営業チームが頻繁に外出する場合は、モバイルデバイスからのアクセスが容易であるか、リアルタイムでのデータ同期が可能であるかといった点が重要です。また、営業活動の効率化だけでなく、データの一元管理や分析機能が充実しているかも確認しましょう。これにより、営業プロセスの改善点を見つけやすくなり、戦略的な営業活動が可能になります。
さらに、導入後のトレーニングやサポート体制も重要です。特に初めてSFAツールを導入する企業にとっては、ユーザー教育がスムーズに行われることが求められます。具体的には、操作マニュアルやオンラインサポート、導入時のトレーニングセッションなどが充実しているかを確認しましょう。これにより、ツールの導入効果を最大限に引き出すことができます。
最後に、導入コストや維持費用も考慮に入れる必要があります。初期投資が高額である場合でも、長期的な視点で見た際にコストパフォーマンスが優れているかどうかを評価することが大切です。また、必要に応じてカスタマイズが可能か、追加機能の導入が容易かといった点も見逃せません。これらの要素を総合的に評価し、自社のAs isとTo beに最も適したSFAツールを選定することが、ビジネスの成功と競争力の強化につながります。